パウエル議長、解雇裁判へ出廷 政権対立鮮明に
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が21日、トランプ大統領によるクック理事の解雇無効を求める裁判に証人として出廷する。現職FRB議長が大統領を訴えた裁判に出廷するのは異例であり、FRBの独立性を巡る政権との対立が決定的となる。
前例なき出廷が示すFRBの抗戦姿勢
パウエル議長の出廷は、これまで組織として距離を置いてきたこの裁判への直接的関与を意味する。クック理事はトランプ氏の解雇通知が無効であると訴えており、パウエル議長はその主張を擁護すると見られる。これは、
「FRB支配を目指す政権との対立姿勢は一段と鮮明になる」
とする見方を強固にする出来事だ。
刑事捜査表明から裁判出廷へ、対立の激化
この動きは、パウエル議長が11日に自身が刑事捜査対象となったことを明かし、政治圧力を批判した流れの延長線上にある。利下げ要求と解任示唆を繰り返すトランプ政権に対し、パウエル議長は従来は批判を避けていたが、今や明確な抗戦モードへと転じた。
解雇を巡る法廷闘争と政権の「FRB支配」計画
トランプ氏は2025年8月、クック理事の不正疑惑を理由にSNSで解任を表明したが、クック氏は疑惑を全面的に否定。裁判所は既に解任手続きの一時差し止めを命令している。この争いの背景には、トランプ政権の7人いるFRB理事の過半数(4人)を自らの指名者で埋めたいという計画がある。クック理事が退任すれば、後任指名でその目標に到達する可能性があった。
パウエル議長の去就と金融政策の行方
パウエル議長の議長としての任期は2025年5月に終わるが、理事職は2028年1月まで継続できる。議長退任後も理事として残るか否かについては明言を避け続けている。今回の裁判出廷は、彼の将来の選択肢にも影響を与えかねない重大な決断である。市場は、この政治的な衝突がFRBの金融政策判断や米国中央銀行の長期的な信認に与える影響を注視している。


